僕のお気に入りアルバム
(管楽器入りのジャズ)


僕の個人的な思い入れのあるジャズ系アルバムを紹介します。このページは管楽器入りのアルバムから。

  At the Jazz Corner of the World vol.1&2/Art Blakey and the Jazz Messengers
  Bags Groove/Miles Davis
  At the Black Hawk/Miles Davis Quintet
  A Night at Birdland/Art Blakey Quintet
  Cool Struttin'/Sonny Clark
  Fabulous Fats Navarro
  
アット・ザ・ジャズ・コーナー・オブ・ザ・ワールド/アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ
At the Jazz Corner of the World vol.1&2/Art Blakey and the Jazz Messengers (Blue Note)

 アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズの名盤と言えば「Moanin'」。これは本当に凄いアルバム。表題曲がボビー・ティモンズの超名曲、その他にベニー・ゴルソンの名曲が並び、曲良し、演奏良し(特にリー・モーガン!)、録音良し、全て良しである。耳にタコができるほどよく聴いたし、もちろん、大好きである。
 しかし、ここではあまり知られていない彼らの大名盤「At the Jazz Corner of the World」を紹介したい。隠れ名盤の代表みたいなアルバム。僕がまだろくにジャズを知らない学生の頃、今はなき渋谷の“デュエット”で「ジャズ・メッセンジャーズのいいヤツをお願いします」というリクエストに対してかけてくれたのがこのvol.2。そのとき以来の愛聴盤であり、その後メッセンジャーズのアルバムをいろいろ聴き漁ったけど、やっぱりこれが最高だ。テナーがハンク・モブレイでトランペットがリー・モーガン。フロントがこの組み合わせのジャズ・メッセンジャーズはこのレコーディングのみだが、この2人のアンサンブルは抜群だ。Vol.1とVol.2の2枚あるが、どちらか1枚ならばVol.2をお勧めしたい。

バグス・グルーブ/マイルス・デイビス
Bags Groove/Miles Davis (Prestage)

 僕をジャズの世界に導いてくれたのが、名演<Bags Groove>におけるパーシー・ヒースのベースだった。この鼓動のような力強いベースのリズムこそジャズの魅力だ、と思った。そうか! ジャズってベースなんだ、と気がついた。それでジャズを、しかもベースを始める気になったわけである。その後、ポール・チェンバース、レイ・ブラウン、サム・ジョーンズという偉大なるベーシストたちをジックリ聴くようになるが、このヒースのベースはまた格別だ。音がカチッとしていて、ビートが重くて、ズンズンとくる。
 もちろん(言い方が本末転倒、かもしれないが)、他のメンバーも最高のプレイを聴かせてくれる。半分はモンク、ミルト・ジャクソン(vib)とのセッションで、半分はロリンズ、ホレス・シルバーとのセッション。これほど名曲、名演ばかりで埋め尽くされているアルバムもメッタにあるもんじゃない。

ブラックホークのマイルス・デイビス
At the Black Hawk/Miles Davis Quintet (CBS)

 恐れずに言うと、実は僕はマイルスがあまり得意でない。彼のフレーズが面白くないのである。ただし、彼のリーダー作にはサイドメンの名演が多い。サイドマンの長所を引き出すというリーダーとしての資質を持っているのだろう。このアルバムはウィントン・ケリーの名演盤として推薦。生き生きしていて、ピチピチである。ライブだからスゴイの何の。マイルスを巧みに煽り、これには親分マイルスも参る。元々、1集と2集の2枚で出されたものだが、10年近く前に2日間のライブのコンプリート4枚組CDが出た(僕は思わず買ってしまった)。
 テナーのハンク・モブレイもいい味出してる。そうなんだ、ハンク・モブレイだから、ケリーもより一層リラックスしてるんだ。モブレイとケリーは共演が多く(モブレイのリーダーアルバム「Soul Station」など。そういえばこちらのアルバムもオススメだ)、仲もいいんだと思う。
 <Bye Bye Blackbird>や<All Of You>では、演奏のテンポが段々遅くなる。ベースのポール・チェンバースが酔っ払っていたのかなあ、などと想像するのも楽しい。
 何にしてもこのアルバム、僕にとってはケリーの名盤。

バードランドの夜/アート・ブレイキー
A Night at Birdland/Art Blakey Quintet (Blue Note)

 これを聴かずしてジャズを語るな!なんて言う気はないが、これを聴いて何も感じなかったらジャズを好きになるのはあきらめなさい、ぐらいのことは言いたい気がする。1集と2集がある。僕にとっては、その昔最初に買った第1集に対する思い入れがより深い(当時はレコードが高く、2枚同時に買う、なんて考えられなかった)。
 これもライブ。汗が、熱気がほとばしる。メッセンジャーズ結成前のブレイキー・バンドで、クリフォード・ブラウン、ルウ・ドナルドソンの最高傑作盤でもある。どちらかというといつもは冷静なブラウンが、熱い。どちらかというといつもは線の細いドナルドソンが、太い。ノリノリのブレイキーとホレス・シルバーにからまれたら、自然とそうなってしまうんだろう。
 ブラウンはこの後マックス・ローチと組んで数年やって自動車事故であの世へ行ってしまう。ローチと組まずにずっとブレイキーとやってほうが良かったろうなあ。ブラウン〜ローチ・バンドはちょっと堅い感じがして、今一つ面白みに欠ける。楽しさの点でブレイキーには到底かなわない。
 ところで右上のジャケット写真、僕の持っているLPもCDもこのデザインだ。オリジナルジャケットではないのだが、僕にとってはこれが一番ピッタリくる。
 
クール・ストラッティン/ソニー・クラーク
Cool Struttin'/Sonny Clark (Blue Note)

 日本での超人気盤であるが、僕も大好きだ。ソニー・クラーク以下全員(ジャッキー・マクリーン、アート・ファーマー、チェンバース、フィリー・ジョー)、ベスト・コンディション。全員よく歌うソロを取る。なんてジャズってメロディアスで気持ちがいいんだろう、と思う。楽器を演奏しない人でも何度も聴いてるとフレーズを覚えてしまうに違いない。
 クラーク、マクリーン、ファーマーというのは、みんな日本人の感性に合っているような気がする。ピーターソン、キャノンボールなどのようなひたすら明るく雄弁なサウンドよりも、ちょっと切なさを感じさせる朴訥なサウンドやフレーズ。ワビサビに通じるんだか、あるいは満腹より腹八分目、ということなのか。
 そうそう、トロンボーンのベニー・グリーンの「Benny Green」(Time) というアルバムにはクラークが参加していて、このアルバムに収録されている<Cool Struttin'>と<Blue Minor>を含む3曲のクラークのオリジナルを演奏している。「クール・ストラッティンPart 2」みたいなアルバムでなかなか良く、実はこちらも僕の愛聴盤。  

ファビュラス・ファッツ・ナバロ
Fabulous Fats Navarro (Blue Note)

 僕はジャズトランペットが好きである。その中で、いちばん好きでよく聴いたのがリー・モーガン。音が抜けていて、輝いていて、フレーズもカッコよく、バラードも絶品だ。そんなリー・モーガンのアイドルだったのがファッツ・ナバロ。やはり、この人がルーツなのである。メロディアスなアドリブはジャズスピリットに溢れ、気品が感じられ、歌心タップリ。ファッツがいたから、クリフォード・ブラウンとリー・モーガンがいる。26歳で病死してしまったため、それほど多くのレコーディングが残されているわけではないが、どれも非常に高水準(いつしか、僕はほとんど全部揃えてしまった)。もっともっと評価されるべき天才アーティストだ。
 この「ファビュラス・ファッツ・ナバロ」は1集と2集がある。いくつかのセッションを集めたものだが、どれもこの当時としてはバンド全体の水準が非常に高く、音質も当時としてはかなりいいから、ナバロだけでなく全体を通して気持ち良く聴ける。有名なタッド・ダメロンやバド・パウエルとのセッションはもちろん素晴らしいが、ハワード・マギーとの2トランペットセッションも最高。トランペットのバトルは駄作が多いけど、このマギー&ナバロは本当に凄い。

 

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