僕のお気に入りアルバム
(ジャズボーカル)

僕の大好きなジャズボーカルおよびジャズ風味ボーカルのアルバムを集めました。いわゆるジャズ歌手のアルバムがほとんどないのですが。

  Sings Songs from the Soundtrack of LET NO MAN WRITE MY EPITAPH/Ella Fitzgerald
  In Love Again/Stacy Kent
  Duet/Doris Day and Andre Previn
  My Romance/Curley Simon
  Pop Pop/Ricky Lee Jones
  Lush Life/Linda Ronstadt
  Real Me/Patty Austin

ミスティ/エラ・フィッツジェラルド
Sings Songs from the Soundtrack of LET NO MAN WRITE MY EPITAPH/Ella Fitzgerald

 こんな素晴らしいエラのアルバムが、ほとんど知られていない。ピアノのポール・スミスとのデュオ。もともと映画のために録音されたものの、実際に使われたのはこのうち3曲のみらしい。趣味の良い絶妙のピアノのみをバックに、<Misty>、<One For My Baby>、<Who's Sorry Now>などなど、エラがゆったりと噛みしめるように歌う名曲の数々。エラはやっぱりチャーミング。
  こんないいアルバムがどうして廃盤なんだろう、と思っていたら、「The Intimate Ella」というタイトルで入手可能であることが判明した。  

イン・ラブ・アゲイン/ステイシー・ケント
In Love Again/Stacy Kent

 いまいちばん気に入っているジャズシンガーがステイシー・ケント。イギリス出身で、ブロッサム・ディアリーをもう少し普通の声にしたようなチャーミングな声。よく聴くととっても上手い。どんな曲を歌っても落ち着いている。彼女の世界を作っている。バックのレギュラーバンドも、非常に趣味が良い。どのアルバムでも伴奏に変化を付けているのがまた良い。ギターのみの伴奏あり、ベースのみの伴奏あり、ピアノのみの伴奏あり、といった具合。僕が最初に聴いたアルバムがこのリチャード・ロジャース集。他のアルバムでは「Dreamsville」、「The Boy Next Door」がお勧め。

デュエット/ドリス・デイとアンドレ・プレビン
Duet/Doris Day and Andre Previn

 ドリス・デイがアンドレ・プレビンのピアノだけ、あるいはピアノトリオというシンプルな伴奏で歌う、なんともシンプルで心温まるアルバム。この時代の人気歌手さんたちは、ごく当然のようにジャズ的スウィング感が身に付いているから、別に声高に「ジャズ」を主張することなく、さりげなくジャズになってる。丁寧に、誠実に、メロディに沿って歌っているだけ。これ以上、なんにもいらない。
 なお、アンドレ・プレビンがダイナ・ショアと組んでいるアルバム(「Dinah Sings, Previn Plays」)もあって、こちらも秀作。  

マイ・ロマンス/カーリー・サイモン
My Romance/Carly Simon

僕の好きな「ポップシンガーが歌うスタンダード」集のひとつ。ポップシンガーであろうとも、アメリカで育ったシンガーにとっては、スタンダードとは「子どもの頃から両親が口ずさんでいた馴染み深い曲」のような音楽。つまりルーツミュージック。だから、すごく自然な感じだし、なんとも言えない優しさを感じる。<マイ・ロマンス>、<イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ>なんか、涙もの。僕の大好きな、メグ・ライアンの名画「Sleepless in Seatle(めぐり逢えたら)」で、この<イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ>が使われたのが、何ともうれしかった。  

ポップ・ポップ/リッキー・リー・ジョーンズ
Pop Pop/Ricky Lee Jones

 不思議な声。ヘタウマ風の、奇妙な歌いかた。そんなポップシンガーの彼女だけど、なんだか妙に心を捉える。スタンダード曲を多く採り上げたこのアルバム、ガットギターとウッドベースの伴奏が中心で、それが暖かくて魅力的なサウンド。時折入るアコーディオンがまた憎いほどいい感じ。<ハイ・リリー・ハイ・ロー>、<マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ>なんか、一時期、耳から離れなくなってしまったほど。  

ラッシュ・ライフ/リンダ・ロンシュタット
Lush Life/Linda Ronstadt

 スタンダード曲とは、長年にわたって歌い継がれ、聴き継がれてきた曲。クラシック名曲と同様、それだけのクオリティがあるからスタンダードとして生き残った、と言えるわけ。たまたまジャズミュージシャンがよく採り上げるけど、別にジャズ曲として生まれたわけではない。こうした名曲をストレートに味わうには、このアルバムあたりが最高。リンダ・ロンシュタットの透明で明るい声が気持ち良いし、バックはネルソン・リドル・オーケストラと申し分なし。彼女のスタンダード集は全部で3枚あり(この他に「What's New」と「For Sentimental Reasons」)、同じコンセプトで作られている。どれも同等の出来。  

リアル・ミー/パティ・オースチン
Real Me/Patty Austin

 20年近くも前、僕が出演していたあるお店でよく流れていたアルバム。あまりブラック・コンテンポラリー系は聴かない僕だけど、これはとても聴きやすく、気持ちよかった。曲はスタンダードが中心、アレンジもサラッとしているし、パティ・オースチンの歌い方もとても好感が持てる(もちろん、メチャクチャにうまい)。<True Love>や<Spring Can Really Hang You Up The Most>あたりがとくに好き。  

 
 お気に入りアルバムのトップ