僕のお気に入りアルバム
(2016年版・最近のお気に入り)

このページではここ数年の間に出逢ったお気に入りアルバムを紹介します。中にはだいぶ以前にリリースされたものもありますが、僕にとっては新譜なのです。(2016年2月作成・3月更新)

 [日本]
  ・唄者/上間綾乃
 [ブラジリアン]
  ・Rita Gullo/Rita Gullo
  ・O Piano De Joao Donato
 [フォーク/カントリー]
  ・Cowboy Angels/Emmylou Harris
  ・Simply Eva/Eva Cassidy
  ・Another Country/Chieftains
  ・Hill of Thieves/Cara Dillon
 [ジャズ]
  ・Winchester in Apple Blossom Time/Blossom Dearie
  ・How Insensitive/Duke Pearson
  
[日本]
唄者/上間綾乃

 2012年のある日、ラジオから流れてきた上間綾乃の歌う「悲しくてやりきれない」にノックアウトされ、さっそく自主制作のアルバムを買った。それから彼女のコンサートに行った。歌もサンシンも実に素晴らしかった。その後まもなく彼女はこの「唄者」でメジャーデビューした。このアルバムでは多彩な曲を取り上げていて、沖縄っぽい曲はさほど多くないが、その説得力のある澄み切った声と、たしかな腕前のサンシンは絶品だ。正直なところ個人的にあまり好きでないアレンジ曲も1〜2曲あるが、魅力的な曲がいっぱい詰まっている。
 彼女は若いのに考えも非常にシッカリしているようで、今後も商業主義の中で振り回されることなく、自分の音楽を高めていってくれそうだ。大ヒット曲などなくてもよいから、ずっと自分の歌を歌い続けてもらいたい。


[ブラジリアン]
Rita Gullo/Rita Gullo

 たまたまYouTubeで見つけたシンガー、Rita Gullo。どこか頼りなげで儚げで、もっと口を開けて歌ったほうがいいんじゃないかな?、なんて思うのに、でも何か心を掴まれてしまう不思議に魅力的な歌声。僕にとって数少ない「ぜひ生で聴いてみたいブラジリアン・シンガー」のひとりだ。このアルバムはシコ・プアルキらが協力してとても丁寧に作り上げたもので、彼女の魅力を十分に伝えているように思う。彼女の歌う「Nunca」が僕のお気に入り。今後に注目したい。

O Piano De Joao Donato

 ジョアン・ドナートの2006年のピアノ・ソロ・アルバム。自作曲が半分で、あとはブラジルのボサノヴァ系の曲とアメリカのジャズ系の曲で構成されている。ドナートのピアノは、彼のオリジナル曲同様、とてもわかりやすいシンプルなメロディと楽しくなるようなリズムに満ちあふれている。彼のピアノ・トリオのアルバムも大好きだけど、このソロ・アルバムには圧倒されてしまった。最高の「ジャズ・ピアノ・ソロ」である。美しい音色と歯切れ良いリズム感は、僕の師匠、菅野邦彦さんのようでもあり、ホレス・シルバーのようでもある。実際にこの3人が仲良しであったのも頷ける、というものだ。


[フォーク/カントリー]
Cowboy Angels/Emmylou Harris

 大好きなエミルー・ハリスの1976年の未発表ライブ音源。「アメリカンロック/ポップス」のページで紹介したエミルーのデビュー・ソロアルバムと同じ時期の録音だけど、やはりライブ音源は聴いていて興奮が伝わってくる。ジェームズ・バートンを含むメンバーも最高。その後もライブ音源がいろいろリリースされ、「Live In 1978」では、リッキー・スキャッグスを含む3人編成によるシンプルなフォーク・スタイルの貴重な音源を聴くことができる。 

Simply Eva/Eva Cassidy

 エヴァ・キャシディは以前の「2009年版・最近のお気に入り」ページで紹介したが、このアルバムは彼女のアコースティック・ギター弾き語りの演奏のみを集めたアルバム。さまざまな顔を持つ彼女の中の、フォーク・シンガーとしての魅力を堪能できる。歌が素晴らしいのはもちろんのこと、ギターも個性的で魅力的だ。ここに収録されていないアコギ弾き語り演奏もまだあるので、今度時間のあるときに、自分で完全版Simply Evaを作ろうと思っている。

Another Country/Chieftains

 僕は、チーフタンズというアイルランドの伝承音楽を楽しく奏でる国宝級のバンドのことを長らく知らなかった。そのバンドがアメリカのナッシュビルでブルーグラスやカントリーのミュージシャンと一緒に作った「Down The Old Plank Road」というDVDを見て、あまりの楽しさと素晴らしさに大興奮してしまった。そのあとすぐにCDも欲しくなり、同じタイトルのCDを買おうと思ったのだが、おなじ志向でその10年前に製作された本CDがあったので、こちらを購入した。アメリカ側からはNitty Gritty Dirt Band、Emmylou Harris、Chet Atkins、Willie Nelson、Ricky Skaggs、Bela Fleckといった錚々たるミュージシャンが参加。アイルランド音楽はブルーグラスなどのアメリカ白人音楽のルーツなので、まったく自然にサウンドが調和して溶け合っている。

Hill of Thieves/Cara Dillon

 以前アイルランドの音楽をYouTubeで検索することがあって、そのときにたまたま出逢ったのがこのカーラ・ディロン。素晴らしいアイルランドのフォーク・シンガーだ。日本ではほとんど知られていないようだが、イギリスのフォーク界ではかなりの存在らしい。それはともかくとして、美しく清らかな歌声は一回聴いたら忘れられない。このアルバムは1曲目を除いて、すべてトラディショナル・ソングを採り上げ、完全にアコースティックなサウンド。爽やかで聴きやすいのに、哀愁も深みもあり、全曲素晴らしい。1曲、無伴奏のアカペラがあるが、これを聴くと彼女の実力が良くわかる。


[ジャズ]
Winchester in Apple Blossom Time/Blossom Dearie

 何年か前にYouTubeでブロッサム・ディアリーのソロ弾き語り映像を見つけ、こんな演奏ばかりのアルバムはないのかな、と探していたら、このアルバムを見つけた。(1曲を除いて)彼女一人の弾き語りで、静かにコーヒーでもお酒でも飲みながら聴いていると、心が豊かになってくるような気がする。
 僕は幸運にもブロッサム・ディアリーを2002年にニューヨークの小さなクラブで聴いたことがある。彼女はシルバーヘアのとても素敵なおばあちゃんで、ベースとドラムスを従えたレギュラー・トリオでの演奏は、彼女の昔のレコードとほとんど変わらない、気品溢れる極上の雰囲気をたたえていた。

How Insensitive/Duke Pearson

 繊細で美しい黒人ジャズ・ピアニスト、デューク・ピアソンのちょっと異色のアルバム。もともと、ボサノヴァの曲を耳にしたときに印象に残ったので購入したアルバムだが、これが実に当たりだった。ボサノヴァ系の曲は全体の半分で、残りの半分はコーラス入りの曲。その中のゴスペルタッチのコーラス入り曲、これらがピアソンのルーツを感じさせ、なかなか深い。一方、コーラス入りの「Stella By Starlight」はとても美しく、この曲の名演。半分を占めるボサノヴァ曲では、ベベートやフローラ・プリム、ドゥルバル・フェレイラといった本場ブラジル人ミュージシャンがゲスト参加しているのがうれしい。トドメはソロピアノによる「How Insensitve」で、こんな美しいピアノソロは滅多に聴けるものでない。

 
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